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昨今の野球には「オープナー」という役割を担う投手がいる。メジャーリーグではよく見られる光景だ。
オークランド・アスレチックスの藤浪晋太郎も、その任を命じられた。6月13日に本拠地で行われたレイズ戦にオープナーとして先発すると、1回を被安打1、奪三振1で無失点に抑えたのだ。
藤浪はこれで4登板連続無失点で、防御率は10.80まで回復。試合は2回から藤浪の後を継いだハリス投手が7回1失点と好投した。チームは8回に逆転し、2-1で勝利。7連勝と上昇気流に乗っている。
藤浪はこの日、中1日での登板だった。先頭のディアスを156キロストレートで一ゴロに仕留めると、2番フランコは162キロの速球で三振に。3番ラミレスはボテボテの三ゴロで内野安打となったが、続くアロザレーナは157キロの力のあるストレートで左飛に打ち取り、オープナーの役目を果たした。
「チームの7連勝中は1勝1ホールドと、貢献しています。初めてオープナーとして起用された6月2日のマーリンズ戦では2ラン本塁打を浴びていますが、2度目のオープナー登板はノーコン癖が出ず、無四球。決め球のスプリットを1球も投げず、直球とカットボールで押したのがよかったのか、制球が安定していました」(スポーツ紙デスク)
ところで、この「オープナー」という言葉は、日本の野球ファンにはまだ馴染みが薄いかもしれない。スポーツ紙デスクが続けて、その役割を解説する。
「メジャーでは近年、採用するチームが増えてきており、本来は中継ぎの投手に試合開始からの1回、あるいは2回を投げてもらう戦法ですね。野球では1番から始まる初回の失点が多い傾向がありますが、この初回を中継ぎの投手に全力で投げてもらって、失点を防ぐのが目的です。レイズが2018年に本格的に採用したのが最初と言われており、メジャーでは各球団に広まっています。日本ではまだ採用例が少ないのですが、日本ハムは2019年に、当時の栗山英樹監督が堀瑞輝を10試合、オープナーとして起用しています」
日本ではメジャーと比較して試合数が少なければ、連戦も少ない。先発は6人ローテで週1回の登板、というケースが多いため、メジャーのように、先発陣の負担を減らす意味合いでのオープナー採用のメリットは小さいということだろう。
とはいえ、力のある中継ぎ投手が初回を締めることで、試合を有利に展開させる可能性は、日本の野球でもあるかもしれない。藤浪のオープナー起用が成功したことで、日本でも話題になれば、セ・パでオープナーが当たり前の戦術になる日が来るかもしれない。
(石見剣)
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日本球界屈指のパワーアームの地力が“野球の本場”で問われ続けている。
現地6月5日に敵地で行なわれたパイレーツ戦で、藤浪晋太郎(アスレティックス)は、チームが3-1とリードした6回に4番手で登板。1死満塁という難局での抜擢だったが、連続の押し出し四球と犠飛であっけなく逆転を許した。数字上は1回2/3(30球)を投げて、被安打1、無失点だったが、マウンド上で悔し気な表情を浮かべた背番号11は膝に手をついた。
【動画】164キロもむなしい押し出し。藤浪晋太郎と強打者マカッチェンの対峙シーン
直近8登板で失点を喫したのは4試合目という藤浪。さらに防御率は9.39、与四球率も5.87と不安定さは相変わらずだ。そんな右腕には現地メディアからもシビアな評価が殺到。米メディア『IUSTV』のザケ・シャパイロ記者は「彼との契約はアスレティックス史上最悪の契約だ。とにかく、フジナミはここ(メジャーリーグ)でやれる選手じゃない」と断じている。
一方で藤浪に“同情”する声もある。米野球データサイト『Fan Graphs』で編集や執筆を行なっているジョン・ベッカー氏は「満塁でフジナミを投入するのは確かに選択肢のひとつだ。だけど、他の選択肢がないのは問題である」と指摘。
さらにアスレティックスのポッドキャスト番組『Athletics Rants』のコメンタリーであるクリス・ラザサ氏は「コッツェイ(監督)がフジナミの起用に固執する理由が理解できない。ただ、ほかに選択肢があるわけでもないのだが……」とチームを憂いた。
藤浪に同情するほどアスレティックスの中継ぎ陣、ひいては投手陣の内容が芳しくない。今季の彼らのチーム防御率はメジャーワーストの6.69。先発(7.10)と中継ぎ(6.22)ともに安定感はない。さらに藤浪の課題でもある制球力に至っては他の投手も同じで、チームの与四球率は4.74と悪化し続けている。
つまり1死満塁というピンチにあって、試合前まで防御率12点台だった背番号11をマウンドに送らざるを得ないほど、今のアスレティックス投手陣は“火の車”というわけである。
さらに今のアスレティックスは投手陣だけなくチーム状態そのものが最悪と言っていい。5日のパイレーツ戦での黒星によりアスレティックスは敵地で15連敗……。シーズン最初の62試合で50敗を喫したのは、いわゆる近代野球が始まったとされる1900年以降では1932年のレッドソックス以来2チーム目となった。
そんな泥沼化するチームのなかで、この日も藤浪は最速102.1マイル(約164.3キロ)を記録し、ボールの出力は以前よりも安定してきた感もある。すでに一人のピッチャーの奮起だけではどうにもならないほどアスレティックスの状況は悲惨ではあるが、29歳のサムライは、どうにか改善の兆しを見せられるだろうか。
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