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2月から始まったプロ野球春季キャンプも、オープン戦に突入。今後は40日余りに迫った開幕に向け、各球団、選手の見極め含め、調整を続けていく。
3年ぶりのリーグ優勝を目指す巨人ではポスト坂本の呼び声高い、ドラフト4位ルーキーの門脇誠(22=創価大)や楽天から現役ドラフトで加入したオコエ瑠偉(25)などイキのいい新戦力の評判も伝わってくる。これら選手をたばねる新任の大久保博元打撃チーフコーチの手腕にも注目が高まっている。
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今春のキャンプでは若手・ベテラン・助っ人関係なく、全員が朝7時からグラウンドで汗を流した。そのアーリーワークの発案者が大久保コーチだ。
現役引退後、西武、楽天で指導者として多くの選手たちを育成してきた同氏だが、中でもその実績として評価されているのが、西武・中村剛也内野手(39)の育成だろう。
槙原寛己氏のYouTubeチャンネル「ミスターパーフェクト槙原」にゲスト出演した大久保氏は、中村の育成を含めた自身のコーチング術について明かしている。
これまで歴代3位となる6度のホームラン王と4度の打点王を獲得するなど、球界屈指の長距離砲として活躍する中村。
2005年には22本塁打を放ち、頭角を示し始めたものの、翌2006年、2007年と不振に陥った。
そんな中村の前に現れたのが2008年から西武で打撃コーチを務めた大久保氏だった。よく中村を覚醒させたといわれるが、これについては
「勘違いして欲しくないのは、僕が育てたわけではなく、1番は渡辺久信監督のおかげなんです。目をつぶってくれたり、使い続けてくれましたから」
と、あくまでも当時の監督であった渡辺氏の力が大きかったと主張。
その上で、中村に対する自身の指導について、まず最初に着目したのが、「体重移動」だったという。
「構える際、僕らは二足歩行をする人間なので、基本的に一本足というのは怖いわけなんですよ。なるべく一本足になりたくない。大谷翔平選手が基本ノーステップで打ってますけど、あれが1番打ちやすいし、ミート率も上がる。
でも、日本人はそもそも骨盤のつくりの影響などで、蹴り足が弱いので、ステップでタイミングを取らざるを得ないんです。その代わりミート率は下がる。
じゃあどっちをとりますかとなった際に、おかわり(中村)の場合は、ミート率を上げないと試合に使ってもらえないんですよね。でもそうすると体重移動ができない構えになってくるので、まずはそこの理論について教えました」
長打力が持ち味の中村にとって、いかに体重移動をスムーズにおこない、ボールに移すかが重要になってくる。体重移動の考え方を教えたのち、大久保氏が口にしたのが、本人に合った打ち方をすることだ。
「打ち方を教えるとしても、それが全員には合うわけではない。本人に合う打ち方をすることが大切です。そこで大事になってくるのは、打席内で奥行きを作ること。その奥行き内で対応するために、中村には打席の前で打つことを覚えさせました。そうすると、今まで一生懸命窮屈そうに奥で打っていたのが、ポイントを前で打つことによって、柵越えが連発したんですよね。
でも人って、アドバイスをした時に、一生物として受けとるか速効性のあるものを受け取るかとした時に、大体速効性を選ぶんですよね。なので、本人にやらせた時に結果が出るものを探すことが1番重要だと思います」
大久保氏のコーチングが実り、同氏のコーチ初年度の2008年、中村の打撃は大きく変化、プロ7年目にして46本塁打と40本超えを記録し、自身初のタイトルとなる本塁打王を獲得。その後も球界を代表する長距離砲の道を歩んでいる。
試合で使い続けた渡辺監督の力も大きかったが、大久保氏の指導は間違いなく中村の野球人生を変えたと言っても過言ではないだろう。
そんな大久保氏が、今度はここ数年低迷する巨人の選手たちをどう覚醒させていくのか。
今後もその手腕に注目が集まりそうだ。
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若手中心の侍リリーフ陣はWBC公式球の扱いに四苦八苦。とりわけ眠れない夜を過ごしていたのは巨人の戸郷翔征(22)だ。2月12日の紅白戦では、2軍の中山礼都(20)にライトスタンドまで運ばれる手痛い一発を浴びた。
「昨秋の札幌ドームで開催されたオーストラリアとの強化試合では、4回7奪三振のパーフェクトピッチングでしたが、春の乾燥した屋外球場では滑るボールに苦戦しています。このままコンディションが上がらなければ、投手内の序列が下がってしまうのは必至。東京ラウンドのドーム球場で調子が上向いてきても、登板機会は限られてしまうでしょう」
そんな弟子の苦悩をよそに、今季より1軍から外れた桑田真澄ファーム総監督(54)は隠居さながらの春季キャンプを謳歌中だ。目下、宮崎市の「ひなたひむかスタジアム」と都城市の「高城運動公園」を巡回する日々を過ごしているが、
「ファンやマスコミの少ないのどかな環境で、若手選手を指導していますよ。第1クールなんて、同公園内でキャンプを張っていた、FC東京の長友佑都を見に来たファンがついでに寄るレベルでした」(球界関係者)
2月上旬に3軍キャンプ地を訪れた際には、妙齢のマダムに背中を叩かれながら、
「今日はMattはいないの?」
とヒヤかされて困惑する姿も見受けられた。そんな物腰柔らかい雰囲気とは裏腹に毒を吐くこともしばしばのようで、
「選手時代から『水と油』の関係だった大久保博元打撃チーフコーチ(56)の悪口が絶えません。周囲のコーチに『ベテランがアーリーワークをやる意味あるの?』という持論を吹聴しているんだとか。いつ1軍首脳陣と衝突してもおかしくないですよ」(球界関係者)
16日に巨人1軍メンバーは、侍合宿と入れ替わるように沖縄に移動。一触即発の事態はシーズンまでにどうなっていることやら。WBCを前にして球界の胸騒ぎが止まらないのである。
「やっぱり1番バッターを決められるような人が出てきてくれると、結構スムーズにオーダーが決まるような気がします」
春季キャンプの最中、YouTubeチャンネル〈報知プロ野球チャンネル〉でこう語ったのは、巨人・原辰徳監督だった。
そして新加入のルイス・ブリンソン、昨年のドラフト2位・萩尾匡也、吉川尚輝、さらには丸佳浩や坂本勇人の名前が挙がる中、原監督が指さしたのは、バッティング練習に精を出す、昨年ドラフト4位の門脇誠だった。
「門脇は『ストロング門脇』と称される強靭な体が自慢で、かつ川相昌弘総合コーチが『肩の強さは非凡』と絶賛すれば、大久保博元打撃チーフコーチも『ミート力がスゴイ』と応じる期待度の高い選手。フリー打撃ではフルスイングでスタンドに運び、騒然とさせていました」(球団関係者)
一方では、別の評価もある。野球解説者の高木豊氏がYouTubeチャンネル〈高木豊 Takagi Yutaka〉で語ったのは、
「こういう選手でいちばん間違えやすいのが、ホームランの魅力に取りつかれるっていうことなんだよ。打ってもたかだか20本いかないよ。それだったら3割を確実に目指すのか、15本を目指して2割8分、7分でいいのか…」
遊撃手・門脇が「スキャンダル王」坂本の定位置を奪い、新たな顔となることはできるのか。
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2月14日に宮崎での春季キャンプを終えた巨人の原辰徳監督が、同日公開の日本テレビ系野球中継の番組公式YouTubeチャンネル〈DRAMATIC BASEBALL2023〉のインタビューに答えた。
「監督の目から見てMVPは?」と聞かれて「今、MVPを獲ってもね…」と思案しつつ、
「新しい風を本当に入れてくれたという点では、デーブでしょうね。全員をニコッとした形で練習に取り組ませたというのは、彼の人心掌握と言葉」
そう言って大久保博元打撃チーフコーチを挙げたのだが、もうひとり、川相昌弘総合コーチの名前も出し、
「守備においても毎日毎日、反復練習ではあるけれども、選手たちが興味深くやった。この2人が私の独断と偏見のMVP」
「ひとつは、まだ競争の段階だから、あえてMVPを選手から挙げなかったという監督の配慮です。次に、若手の顔が真っ先に浮かばなかったのではないかという懸念から、今年も若手伸び悩みの不安が上がる。最後に、あえて打撃と守備を主にしたコーチの名前を挙げることによって、投手コーチを刺激しているのではないかとも思える」
昨シーズンは、初勝利を挙げた投手が8人いるが、先発ローテーションが期待されるところ、山崎伊織、堀田賢慎が既にコンディション不良で離脱。昨シーズン5勝のメルセデス(ロッテに移籍)の代わりに加入した新外国人投手の実力は未知数だ。
「新エースの戸郷翔征と菅野智之以外の投手戦力は、他球団と比較しても見劣りしますね」(前出・スポーツライター)
そして戦力底上げを担うべく配置転換された桑田真澄ファーム総監督は、どこで何をしているのか──。
巨人の3年ぶりV奪還には、まだまだ問題山積なのである。
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